2007-02-14 笹舟 詩 流しにゆくのですか と聞かれ 流しにゆくのです と 暗がりに火を灯しながら おそるおそる坂を下ってくると 柳の下に店が出ていて ちりちりと風鈴を鳴らしている これはどうですか と 差し出された笹の葉には 赤や青で何か書かれており もうこの目では見えませんね と 暗闇で手探りをするように それを舟の形にして すれ違った手に渡せば 誰も知らない空に流れてゆく 流れてゆく姿が 鳥の影が離れる場所に 流れてゆくのですか 流れてゆくのですか と わたしは立ちつくしている そのような水辺で