9月第2週

江戸川乱歩全集〈第4巻〉孤島の鬼 (1978年)
江戸川 乱歩
講談社
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「孤島の鬼」
主人公・箕浦は同性の友人から好意を寄せられながらも女性と交際しているが、ある日、彼女が密室内で殺されてしまう。探偵を交えて事件を調査するうちに忌まわしい事実が浮かび上がり…。前半は推理、後半は冒険と、がらりとトーンが変わる。推理部分は煽るわりには腰砕けのトリックで、乱歩はミステリとしてではなく幻想小説として読むべきと再認識した。盛り沢山の内容、真相の忌まわしさ、そして人外の獣と化すほどの執着の物凄さが見所。ただ、クライマックス後の投げやりな展開は…。
「猟奇の果」
こちらも前後編で雰囲気が変わる。不穏なドッペルゲンガー譚として始まった物語は、国家を転覆せしめるほどの大犯罪を追うものになっていく。変身・変装を重視するあたり、怪人二十面相などに繋がっていくのかも。

 

吉岡実風の詩は今読むとなかなかもたれる。鎌田喜八の作品も以前ほど感銘は受けなくなってきたが、それでも「エスキス 44」だけは変わらず良い。

閏日 負の日
見世物も商いも立たぬ日
地べた留守の日
ただの人零
 
除け者の日だ

http://www.interq.or.jp/www1/ipsenon/p/kamata3.html