久世光彦/早く昔になればいい

少し元気が出てきたので積んでた本を崩した。作者は著名なテレビプロデューサーらしいが、小説や作詞も手がけたりと多才な人であったようだ。そういえばレトリックやイメージが過剰なまでに映像的。

あのころは、ちょっとしたことですぐに人が死んだものだが、それにしてもしーちゃんの死は呆気なかった。部屋の奥から誰かが投げた赤い手毬が、ポーンポーンと畳に二つ三つ弾んで、そのまま縁側から落ちてどこかへ行ってしまったようだった。