2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

10月第5週

挾み撃ち (講談社文芸文庫)posted with amazlet at 11.10.30後藤 明生 講談社 売り上げランキング: 111598Amazon.co.jp で詳細を見る(読んだのは別の版) ある四十男が「とつぜん」思い出した外套の思い出を頼りに、来し方をたどり直して自己を探求する魂の…

烏瓜

廃バスの窓に無数の烏瓜

夜寒

着るほどに寂しくなりぬ夜寒かな

日曜日に別れを告げて

日曜日に別れを告げて あの人が欲しいと猫に頼んでも黙殺される血の日曜日 空色のホースの中をのろのろと運ばれていく真っ赤な金魚が 人のいない午後は眠くて寂しくてひよこを埋葬するにはぴったり 淡々と折りつづければ世の中がわかる気がする人形の指 陽が…

独楽の回転

独楽の回転 風ぐるまくるりくるりと目を回すロールケーキに巻かれて眠り 千年のあいだ噛んでたガムあげる兄さま姉さまご賞味ください 瀬戸物の茶碗が砕けてばらばらになりつつ地下を大冒険する 警官にやさしく肩を叩かれる 白い狐を見たことあるか ペリカン…

10月第4週

旅の冒険―マルセル・ブリヨン短篇集posted with amazlet at 11.10.23マルセル ブリヨン 未知谷 売り上げランキング: 641502Amazon.co.jp で詳細を見る五篇を収録。およそどれも詩的散文にプラスアルファして話がくっついている趣で、物語を楽しむというより…

まつりのあと

まつりのあと 百万の蛙と同じ数だけの忍者がいると思えば楽しい この夜の全ての書肆の灯りをも狂って吹き消す風のいじわる 大輪のひまわり折れているばかりこの世の息をあの世でも吸え 舞殿で無心におどる鬼の群 祭が果てたら車で帰る

星月夜

星月夜廊下は長くのびており

10月第3週

ドゥルーズ―解けない問いを生きる (シリーズ・哲学のエッセンス)posted with amazlet at 11.10.16檜垣 立哉 日本放送出版協会 売り上げランキング: 125594Amazon.co.jp で詳細を見る空虚を空虚として捉えるのではなく、別のパラダイムが生まれる現場と考える…

31-35

ゲリラ豪雨 ゲリラ豪雨 突如として大量に降る雨を 奇襲を行う ゲリラにたとえている 曇り空とともに雷鳴 合戦の予感に 鬼瓦は 武者震いに震える 地獄 川で冷やしていた西瓜が ぱっくりと割れて 下流は血まみれになる 子供らは群れ集って それを飲む 残念な人…

夏から秋

血を吐きたる祖父の楽器冷ゆる夏 方形の月訪れたる窓辺かな 方形の月の庭に歩み入る 地下界の延長として彼岸花

10月第2週

短歌をよむ (岩波新書)posted with amazlet at 11.10.09俵 万智 岩波書店 売り上げランキング: 36802Amazon.co.jp で詳細を見る鑑賞と作歌の方法を紹介し、さらに「素人の時代」と言われる現代の課題にも触れる。まず心の揺れを第一に置いて、それを伝えるた…

10月第1週

福祉国家の闘い―スウェーデンからの教訓 (中公新書)posted with amazlet at 11.10.02武田 龍夫 中央公論新社 売り上げランキング: 231608Amazon.co.jp で詳細を見る「理想的な福祉国家」とされるスウェーデンも、裏を返せば「開かれた全体主義」というほどの…

人間もどき

人間もどき 廃屋の畳の裏でにぎやかに繁栄していく福祉国家 豆球に妖精一匹閉じこめて九蓮宝燈夜は更けゆく 虫けらになりたい虫になれなければ活版刷りの旧字でもいい 子供らはぱ・い・な・つ・ぷ・ると唱えつつ舗装したての道を蹴散らす 一人消え二人消えし…