2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧
「星と星との間に視線でいくら分け入ってもまだまだ小さな暗い星がある」*1とメモ帳に書き付けて、それまで読んでいた本を閉じた。小石が飛び跳ねているような鈍いうずきを眉間の奥に感じる。 朝から家の裏でやっていた工事の音はやみ、思いがけずまたいつも…
こつこつと誰かが指で叩くような音に窓を見ると、それはたしかに親指ほどの大きさの蛾が、部屋の明かりに誘われて何度も何度も見えない壁に体をぶつけていた。ガラスにぶつかるごとにこまかな燐粉が散る。これは昆虫の「走光性」という習性に基づくもので、…
濡れた渦の中で きみは肉を剥がされながら ときどき白い骨を見せたり おこりみたいに頭を揺らした 真青な氷が流れ着くと それをまるで飴であるかのように 右の頬から左の頬へと 移しかえたりした 今そこにきれいな墓がある 誰も行かない 花も咲かない
まだ五月だというのに存外に気温が高く、前日の雨による湿気でことさら暑く感じられた。窓を開けるだけでは十分ではないので扇風機を回して部屋にこもる暑気を逃がし、その風を受けながら両側に積み重ねた本の間でうんうんと唸る姿は、おそらく誰が見ても暑…
からんからん、と鈴を揺らして手を合わせ、しばし拝礼。うしろを振り返るとがらんとひと気のない境内のむこうに低く海があり、天気が良いので水面が輝いて見える。石段を降りて右手に境内社を見つつ、石畳を辿って大鳥居をくぐる。 神社を出て雑貨屋、鮮魚店…
いつものように薄暗い部屋で本に顔を埋めていると、窓の外をパープープーとあの喇叭の音が遠くから近くへ、そしてまた遠くへと沖へ波が引くごとくに通り過ぎていった。近頃このあたりに商いの足を伸ばしてきた豆腐売りであるらしい。らしい、というのはそれ…
ほんとの話。
嘘を取り混ぜて日記を書いていくというのは決まった。だが当然、嘘しか書かないとなれば別のつらさが出てくるので、そこはバランスを取って書いていきたい。このバランス感覚を習得するまでは妙なことを書くかもしれず、文章の拙劣さや論理の不分明とともに…
goo国語辞典の「日記」の記述。 (1)日々の出来事や感想などを一日ごとに日付を添えて、当日またはそれに近い時点で記した記録。古くは「御堂関白記」「玉葉」「明月記」などが著名だが、職掌上交替で書き継がれた「御湯殿上日記」などもある。日誌。にき。 →…
さて何かを書き始める前に、まずは「何を書くのか」という問いを立て、それには自分の立ち位置を確認することによって答えたいと思う。 そもそもこのダイアリーを始めた理由は何だったか? 身も蓋もない言い方をすれば「文章力の向上を期して」である。日記…
よしなしごとをぼちぼち書いていければ。