2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

フランケンシュタイン・コンプレックス

フランケンシュタイン・コンプレックス―人間は、いつ怪物になるのかposted with amazlet at 11.08.31小野 俊太郎 青草書房 売り上げランキング: 383533Amazon.co.jp で詳細を見るQ.最近読んで面白かった本を教えて下さい A.面白い本はいろいろ読んでいるので…

インタビュー

http://theinterviews.jp/misui こんなの始めたのでよろしくね。プロフからリンクしておきます。

叫び声・帰れない

叫び声 林から叫び声が聞こえる 木を割いたような声である お客は驚いて あれは何だ 何が叫んでいるんだ と尋ねてくる いいえ 鶏を潰して いるだけです 控えめに答えると お客は安心した様子 麦茶など飲んでいる 少しやましく思うが たしかに鶏も潰している…

8月第4週

寝ながら学べる構造主義 (文春新書)posted with amazlet at 11.08.27内田 樹 文藝春秋 売り上げランキング: 4874Amazon.co.jp で詳細を見るフーコーやレヴィ=ストロースを読むにあたって周辺の知識の必要を感じたのでこれを。かなり内田樹の色が強い気がする…

料理・廊下

料理 次から次へと 運ばれてくるお膳に 手をこまねいていたら 古いものから順に 下げられていくので あれはあとで 女中が手をつけるのだろう などと静観している ところが顔役によると あなたが食べないので 料理人が責任を取って すべて食べるのだ というの…

久方の中なる川

久方の中なる川の鵜飼舟いかに契りて闇を待つらむ 藤原定家 新古今和歌集・夏歌・254番 技巧が前に出すぎるきらいのある定家の作品において特に難解な歌。 「久方の」は空や光などにかかる枕詞で、この場合は「月」を導き出す。 つまり「月の中なる川」とい…

散歩の効用

散歩の効用 四つ辻の老人ホーム日が暮れて色とりどりの折紙の森 泣き濡れた同級生の美容師に長靴一杯の画鋲をもらう 「亡くなった人に救いはありますか?」色白の男に呼び止められる 鮮魚店から出た水が焼肉屋の玄関脇へと流れていく 踏切がいつまでたっても…

羊人間の夜

羊人間の夜 眠れない夜は羊人間の数を数えて眠るとよい ゲバ棒を構えた少女一斉に海に向かって雪崩こむ夜 ひき割りの納豆の雨さめざめと夏の夜更けに卒塔婆を濡らす 子供たち川を流れてゆく途中賽の河原で花火に出逢う 眠れない羊人間連れ立って映画館まで散…

8月第3週

寝ずの番 (講談社文庫)posted with amazlet at 11.08.20中島 らも 講談社 売り上げランキング: 109966Amazon.co.jp で詳細を見る(読んだのは単行本) 短編集。表題作は噺家の通夜の席で弟子たちがひたすら下ネタを飛ばすというもので、これがくだらないかと…

26-30

狐 あなたは指で狐を作る 狐の唇が 狐の唇に触れる 百年が過ぎて そっと離れる お盆 先祖が帰ってきて タクシー代が払えない というので 立て替えておく 水にふやけた うどんのように お盆が過ぎていく 税金 壁の向こうで 誰かが話している 税金のことらしい…

このやる気のなさ

8月第2週

フーコー その人その思想posted with amazlet at 11.08.13ポール・ヴェーヌ 筑摩書房 売り上げランキング: 72847Amazon.co.jp で詳細を見るコレージュ・ド・フランスの元同僚によるフーコー思想の手引き。ちと敷居は高いがフーコーのエッセンスを理解するに…

21-25

断水 ペットボトルで 金魚を飼っている男が 近頃は断水が多くて ままならないという 言いながら口をつける そのボトルの金魚が 今飲まれるか 今飲まれるか 気になって仕方ない ソルティ・ライチ 日が暮れて 大勢の人が家に帰った 私たちは研究棟を出て 砂浜…

(追記)25「死神」はちょっと没に。

11-20

誤訳 セミ かと思ったらエビ 枝にたくさんの甲殻類が 困っている 幽霊 雨が降って 図書館は水びたし 人々は閲覧室で 「メディアは戦争に」 「どうかかわってきたか」 議論する 世界はつながっている 月が落ちると どこかで首が落ちる 水槽に毒を溶かすと 呼…

8月第1週

健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体 (角川Oneテーマ21)posted with amazlet at 11.08.07内田 樹 春日 武彦 角川書店 売り上げランキング: 64920Amazon.co.jp で詳細を見る内田樹と春日武彦の対談集。世に存在する定型・非定型、言語化できるものと言語…

1-10

坂の多い 港湾クレーン 墓石に白と赤の花が飛び交う 魚の影 これは雨 とは言わなかったが深緑 の海の底でシャワーを浴びる 人魚の群れ いずれ死ぬ花と骨の埋没 手紙を結ぶ 駅から 山の手に上る道 建物に入れば建物から出る 犬には 餌をやらない 演劇 青いビ…

コンセプトは「カードに収まる即興詩」