料理・廊下

料理

次から次へと
運ばれてくるお膳に
手をこまねいていたら
古いものから順に
下げられていくので
あれはあとで
女中が手をつけるのだろう
などと静観している
ところが顔役によると
あなたが食べないので
料理人が責任を取って
すべて食べるのだ
というので
一体どれだけの料理が
成功と挫折を
行き来するのだろうかと
奥の台所を
気にしてばかりいる

 

廊下

奥に進めばいいと
席を立ったのはいいが
どこまで行けばいいのか
聞くのを忘れた
暗い明かりの下
行き交う人は
あなたの目的は全部
端から端まで知っているんだ
とでもいうように
意味ありげに微笑む
磨かれた廊下は
長すぎる気がするが
どこまでも続く壁が
さめざめと白くて
自分が狂っているのか
家が狂っているのか
わからない