8月第4週
フーコーやレヴィ=ストロースを読むにあたって周辺の知識の必要を感じたのでこれを。かなり内田樹の色が強い気がするけど概観するには便利だと思う。主体を問うのが構造主義の大きなテーマだということがわかるし、どこから手をつけていいのかわからなかったバルトの取っかかりを得られたのが個人的には大きい。あとでざっと再読予定。
エクリチュールとは、書き手がおのれの語法の『自然』を位置づけるべき社会的な場を選び取ることである
北米インディアンの間に伝わる土着神話を比較分析し、神話構造や差異を明らかにする小論。解説にもあるが理解しやすい模範演技という感じで、神話分析の方法論を一瞥できる。神話を異伝の総体と考えたとき、知られた全異伝といえども偶然に残されたものと考えるならば、そこに隠されている可能的諸形態も考察の範囲に入るので、別に継起性にとらわれる必要はない。実際にテキストは残されてなくても材料から推定できるならどんどんやっちゃっていいということかな。
幻想の図書館 (ミシェル・フーコー文学論集)
posted with amazlet at 11.08.27
(読んだのは単行本)
初めての皆川博子。漠然と耽美な感じなのかと思ってたら予想を超えて骨太だった。全編を通して、時代に置き去りにされたものの悲哀と狂気が、美しい詩や句になぞらえて描かれる。集中で好きなのは、読後にタイトルが陰々と木霊する「想ひ出すなよ」、人ならぬものの手を借りた残酷な恋愛譚「龍騎兵は近づけり」。こういう作風って情動に走るせいでぐだぐだしそうなんだけど、きちんと抑制を持って知的に構成されている(龍騎兵〜は特に見事)。容赦がほとんどないところもいい。また好きな作家が増えました。
物理学者が身のまわりの出来事や思い出を綴ったエッセイ。こういう気負いのない文章を読むとほっとする。
問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ (光文社新書)
posted with amazlet at 11.08.27
春日 武彦
光文社
売り上げランキング: 21651
光文社
売り上げランキング: 21651