2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ancient breath

わたしは小さな息をしたい 冬や夏の海に偶然生まれる淡い気泡 の中で発熱するみなもとのものたちのあいだで ためらうように交わされた言葉を書き止めてゆく いにしえの風を身体に流れる海に通して わたしは小さな息をしたい

海月

とろけながら流れの中に 水に住んでいると きみは言う しなやかに背骨を吐いて 冷たい皮膚が裸で 遠く鳴り響くエコーに たましいの在り処を知る くりかえし欠けた月を はるかな満ち引きを 滅びとともに感じ 想いをこの世の外へ 辿りつく場所へ運ぶために 透…

アクアリウムの夜 (角川スニーカー文庫)作者: 稲生平太郎,緒方剛志出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2002/01/31メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 779回この商品を含むブログ (51件) を見るやっと読めた稲生平太郎。ラジオドラマ聴きたかった… アムネジア…

いま この世の繋ぎがほどけ 地へと通じる道を 伝う喉をかたく折り合わせ いま 未明の花に閉ざされた 裂けた房と房とを結びつけ 心臓に触れたものが皆 刹那の崖に崩れると 光を無限に散り尽くし いま 影を連ねたいくつもの きらめく傷をまとい 脈によって縛ら…

時計草

流し雛

東京から帰ってからは正直何も浮かばない。 三月がピークだった。

空が空を重ねる この蔭は冷たい猫を抱き 明るさのもとで伸びつづけた 夏の欠伸の白い傷を 追いすがる曳航に寄せ 戸惑いのなかば秘められている 七月