26-30

あなたは指で狐を作る

狐の唇が
狐の唇に触れる

百年が過ぎて

そっと離れる

 

お盆

先祖が帰ってきて
タクシー代が払えない
というので
立て替えておく
水にふやけた
うどんのように
お盆が過ぎていく

 

税金

壁の向こうで
誰かが話している
税金のことらしい
難しい単語が飛び交う
やや興味があるので
耳を寄せて聞くと
どすん!と
包丁が生えてくる
身につまされる話だ

 

ざるそば

髪が伸びてしまった
そばを食べるときに
邪魔で仕方ない
切ろうかと思う
髪さえ切れば
髪とそばを
一緒に啜る
こともないだろう
幸せになれるだろう

 

暑い

暑い
湾が茹だって
タコが浮いている
タコ料理ばかりで
何もする気が起きない
みんな葬式も出さずに
タコを食べている