10月第1週
福祉国家の闘い―スウェーデンからの教訓 (中公新書)
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(読んだのは単行本)
住まいの近所に見つけた首塚をめぐる、平家物語や太平記などのテクストからテクストへの彷徨。ほんの些細なモノへの注目で迷宮を見出し、道筋をたどることで迷宮の露頭である現在へと至る。そこにはピラミッド型の一個の時計がある。読んでいる間はさほどでもないが我に返れば世界が別の意味を持ちはじめるような、いたるところに迷宮があることに気づかせてくれる、そんな小説だった。細部の謎めいたほのめかしが絶妙、引用を除けばさっぱりした文章もいい。これはうまいなあ。
作者とは何か? (ミシェル・フーコー文学論集)
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(読んだのは旧版)
いろんな人がいるんだなーとニヤニヤしながら読む。紹介されている全員が嫌なやつで素敵。これを読んで現代思想が把握できるわけではないけど、とりあえず名前を知るきっかけにはなったかな。
20枚の絵に連作掌編が添えられている。桂子さんシリーズの慧君を主役としたもので、このあとに『よもつひらさか往還』が続くと考えてよさそう。先にそちらを読んでいたために、慧君のネットワークや九鬼さんの前身的な道士の登場は、見知った人の過去を覗くようで楽しかった。エロティックながら不思議にドライな空気も健在。絵は抽象に近いものや山水画が主で、音楽的だったり肉感的だったりと感覚にストレートに訴えてくる。堪能しました。