パラダイス・モーテル

そんなわけで「パラダイス・モーテル」を読了。面白かった。全体の分量は中編程度で、「主人公が人から聞いた話」が無数に連なっている構成。なので飽きずにさくさく読めるし、ひとつひとつの話が奇想に満ちていて退屈することがない。最後のオチはちょっとあれなんだけど、そこに辿りつくまで物凄く楽しませてくれた。こういうのが沢山読めれば何も言うことないな。

たとえば彼らのシャーマンは、後頭部に目がついていた。羽毛の外套と彩色した顔といういでたちのシャーマンが、わたしに背中を向けて、痛々しく充血したその目をこらしてみつめるたびに、それを何度も見ることができた。見張番の話では、シャーマンの妻たちは四歳か五歳のこどもを選んでシャーマンの後継者にするという。およそ十年の歳月をかけて、彼らはこどもの左目を眼窩から徐々にひっぱりだし、じわじわと視神経をのばしていって、ついには眼球が左耳のうしろに来るようにするという。それは油を切らしたことのないバナナの皮にくるまれて、紐で頭にくくりつけられていた。

短編集もある。「パラダイス・モーテル」中で触れられた話も収録されてるらしい。いつか読もう。

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

隠し部屋を査察して (創元推理文庫)

それで今はタニス・リーの短編集を読んでる。寝る前に短編をひとつふたつ読むといい悪夢が見れる。ガイ・フォークスこんなの)が洗濯機の中や窓の外にいて子供を連れ去ったりした。