パラダイス・モーテル
そんなわけで「パラダイス・モーテル」を読了。面白かった。全体の分量は中編程度で、「主人公が人から聞いた話」が無数に連なっている構成。なので飽きずにさくさく読めるし、ひとつひとつの話が奇想に満ちていて退屈することがない。最後のオチはちょっとあれなんだけど、そこに辿りつくまで物凄く楽しませてくれた。こういうのが沢山読めれば何も言うことないな。
たとえば彼らのシャーマンは、後頭部に目がついていた。羽毛の外套と彩色した顔といういでたちのシャーマンが、わたしに背中を向けて、痛々しく充血したその目をこらしてみつめるたびに、それを何度も見ることができた。見張番の話では、シャーマンの妻たちは四歳か五歳のこどもを選んでシャーマンの後継者にするという。およそ十年の歳月をかけて、彼らはこどもの左目を眼窩から徐々にひっぱりだし、じわじわと視神経をのばしていって、ついには眼球が左耳のうしろに来るようにするという。それは油を切らしたことのないバナナの皮にくるまれて、紐で頭にくくりつけられていた。
短編集もある。「パラダイス・モーテル」中で触れられた話も収録されてるらしい。いつか読もう。
- 作者: エリック・マコーマック,増田まもる
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/05/20
- メディア: 文庫
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