12月読書記録

12月の読書メーター
読んだ本の数:23冊
読んだページ数:5670ページ

夢の木坂分岐点夢の木坂分岐点
夢から夢へと彷徨する男の物語。これはすごい。いやすごい作品ではあるけれど、こういうのが評価されてるならしばらくは筒井作品は読みたくないなと思ってしまった。今の自分のフィーリングに合わないというのもあるが単純に夢話を読むのがしんどい。経験値を稼いでからまた読みます。
読了日:12月30日 著者:筒井 康隆
羊たちの沈黙羊たちの沈黙
安楽椅子探偵ものと聞いて。しかしいかんせん訳の酷さとアンソニー・ホプキンスのイメージが強すぎるのとで、なにか大事なところがぼやけている印象。映画を見れば十分。
読了日:12月29日 著者:菊池 光,トマス ハリス
児童文学を英語で読む (岩波ジュニア新書)児童文学を英語で読む (岩波ジュニア新書)
アリスやナルニアなど古典から現在までの24作品を紹介。文章の端々から物語への信頼が感じられて素晴らしかった。英語・日本語を問わずあらためて児童文学を読み直してみたい。
読了日:12月28日 著者:百々 佑利子
ミステリ十二か月ミステリ十二か月
初心者向けブックガイド。本の紹介に加えてかわいい挿絵あり、いくらか突っこんだ解説あり、有栖川有栖との対談(という名目のミステリオタク二人によるトーク)ありと、バラエティ豊かな一冊。
読了日:12月27日 著者:北村 薫
うつろ舟 (福武文庫)うつろ舟 (福武文庫)
短編集。最初の数編はわりとロジカルで狙いがわかりやすいものの、読み進めるうちに徐々に雲行きが怪しくなり、最終的には前後不覚の茫洋とした境地に連れ去られてしまった。日本を舞台にここまで幻惑的な小説世界を描き出した手腕に脱帽する。
読了日:12月25日 著者:渋澤 龍彦
掏摸掏摸
今までの作品にあった自傷行為とも言える主人公の性癖が、今作ではスリという犯罪行為に置き換わり、かつ主人公と性質を同じにしながらも悪の位階の高い人物を登場させ、高みの視点からも俯瞰して見せてくれる。ややエンタメ色が強まってテーマが掴みづらくなってしまったかもしれないが、その点を補ってあまりある面白さ。この人の作品を追っていてよかったと感じさせてくれた。
読了日:12月24日 著者:中村 文則
映画を見る眼映画を見る眼
NHK人間講座のテキストとあって映像のリテラシーについて基礎の基礎から述べられている。まず「カットとカットを繋ぐのは大衆の心」というところから始めて、自作を例に出しての技術への言及、さらには映画の虚構性に対する現実のあり方を問い直すことの提言にまで及ぶ。本当に最初の部分が抜けていたので助かりました。
読了日:12月22日 著者:小栗 康平
ロートレック荘事件ロートレック荘事件
驚かされたけどはたして面白かったのだろうか。フェア・アンフェアがどうというのではなくて、謎解きの段に入ってからこの小説が「問題とその解答」という浅いレベルに落ちてしまったように感じた。おかげで結末も取って付けたメロドラマとしか思えず。読み慣れないミステリに過剰に期待した自分が悪いのか。
読了日:12月21日 著者:筒井 康隆
M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉 (創元推理文庫)M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉 (創元推理文庫)
クリスマスが近いので再読。古物趣味に彩られた古典的怪談。
読了日:12月20日 著者:M・R・ ジェイムズ
法月綸太郎ミステリー塾 海外編 複雑な殺人芸術法月綸太郎ミステリー塾 海外編 複雑な殺人芸術
評論集。ミステリの知識を必要とする本だったので面白そうなところだけ拾い読み。推理小説の形式化が進み、クイーンの作品にゲーデル的な問題があらわれるという、いわゆる「後期クイーン問題」についての論が収められている。
読了日:12月18日 著者:法月 綸太郎
文学部唯野教授の女性問答文学部唯野教授の女性問答
フェミニズムの講義に代えてということなのかな。読んだ端から忘れてしまった。
読了日:12月17日 著者:筒井 康隆
文学部唯野教授のサブ・テキスト文学部唯野教授のサブ・テキスト
ほんとにおまけ本だった。あー、まあ『フェミニズム殺人事件』を読んでみようと思ったくらいで。
読了日:12月17日 著者:筒井 康隆
古代人と夢 (1972年)古代人と夢 (1972年)
「夢の型は文化の型に規定される」として夢を足がかりに古代日本の精神史を読み解く。狭隘な特殊性にとどまらずあくまでも普遍へと至ろうとする人類学的な視点には好感が持てる。ただ、夢の精神史というよりは他界がメインになっている節がなきにしもあらず。個人的には常世の国やニライ・カナイなどの「明るい」他界にはいまいち馴染めなかったので、地下他界の暗さ、特に観音信仰と洞窟信仰の重畳から根の国・黄泉の国に地母神の性格を見出すくだりが良かった。似た構造を持つ『死者の書』を想起しつつ。
読了日:12月16日 著者:西郷 信綱
徒然草を読む (岩波新書 黄版 185)徒然草を読む (岩波新書 黄版 185)
合理的で冷静な目を持ちながら人間心理の深い洞察者であった兼好。徒然草を読むことで、貴族社会から武家社会への乱世に生きた兼好の姿を浮き彫りにする。
読了日:12月14日 著者:永積 安明
ある通商国家の興亡―カルタゴの遺書ある通商国家の興亡―カルタゴの遺書
ダイジェスト・ポエニ戦争。「ローマ対カルタゴ」を「ベヒモスリヴァイアサン」とするなど面白い見方。「ハンニバルにならって雪のアルプスに象を連れ出してみた」ってひどいなぁ(笑)
読了日:12月12日 著者:森本 哲郎
最後の命最後の命
過去の出来事にとらわれそれ自身と化した人間の物語、という点ではいつもと変わりませんが、今作では様々な要素が盛りこまれてなかなか重層的に(すべてが成功しているかはともかく)。「もう翻訳はやめだ」という主人公の言葉は著者の宣言として受け取っておきます。
読了日:12月11日 著者:中村 文則
寂聴 般若心経―生きるとは (中公文庫)寂聴 般若心経―生きるとは (中公文庫)
法話を文字に起こしたもの。若干浅い気もするが語り口が軽妙でとても入りやすい。というかメインの般若心経の解説よりつかみの話がやけに面白かった。
読了日:12月08日 著者:瀬戸内 寂聴
ヌード写真 (岩波新書)ヌード写真 (岩波新書)
ヌード写真というものがいかに社会的な性格を持ち、ファロス中心主義によって生産されてきたかを糾弾しつつ、現代においてはファロセントリズムの枠を超えた新しい性表現が登場してきたことを示唆する。写真の見方の参考に。
読了日:12月07日 著者:多木 浩二
神楽と出会う本神楽と出会う本
楽家によるガイドブック。データ的な面が強いので読み物としてはつらい。
読了日:12月06日 著者:三上 敏視
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
まったく専門外の分野の話だったので「動的平衡」という概念(とその比喩の美しさ)ひとつとってもぐっとくるものがあった。研究内容については正直三日すれば忘れてるだろうけど、研究室の内情とか先人への敬意とか、端々に垣間見える人間臭さが素敵。おつかれさまですと言いたくなる。
読了日:12月06日 著者:福岡 伸一
文学部唯野教授文学部唯野教授
講義部分はメモを取りながらまさに受講するつもりで読みました。ところで、日常パートはスラップスティックなので油断して読んでたけど、もしかしたら批評を戯画化しているのかもしれない。そうではないとしても講義で得たもので読み解くべきなんだろう。「現代的な小説を読むには、早読みしない、ゆっくり食べる、はしょらない、丹念に摘みとる、これが大切です。」そうは言ってもあの内容だしなぁ。要再読。
読了日:12月05日 著者:筒井 康隆
マクベス (新潮文庫)マクベス (新潮文庫)
再読。冒頭で「裏切り者」のコーダ領主の位がマクベスに贈られているわけで、裏切り者の役柄を相続した者と、その「哀れな弱い無辜の小羊(4-3)」を生贄に捧げる国、という視点から読んだ。
読了日:12月03日 著者:シェイクスピア
作家の家―創作の現場を訪ねて作家の家―創作の現場を訪ねて
環境がどれだけ作家に影響を与え、また作家が環境に影響を与えるか。できれば欧米以外の作家の家も見たくなる。なかなか読みごたえがあるのも○です。
読了日:12月02日 著者:フランチェスカ プレモリ=ドルーレ,エリカ レナード,マルグリット デュラス