1月第4週

神様のおきにいり (MF文庫J)

神様のおきにいり (MF文庫J)

家神を中心として妖怪やそれに関わる人が身近にいるファンタジー。一本芯の通った良い作品です。「わかっている」人が書いている感じ。
 2巻では家神の珠枝と主人公の関係と並行して、妖怪と人間がある面においては決定的に異なる存在であることが描かれています。ただ楽しいだけのハーレムものではなくきちんとネガティブな面もフォローされていて、まだまだ一人前とは言いがたい主人公がそれを受けてどう成長していくのか、今後が気になるところです。
 海&温泉回でありながら試練の回だったりする。妖怪の世界に限りなく近づいていた主人公が、実際に妖怪の側を身をもって体験し、それが決して生半可なものではないということを知ります。今回は家神の珠枝が不在のため主人公自身の決断が重要に。1巻の頃と比べるとその成長具合には目をみはるものがあります。
 
神様のおきにいり〈4〉ねこまたの巻 (MF文庫J)

神様のおきにいり〈4〉ねこまたの巻 (MF文庫J)

人間の立場や妖怪の立場など、様々な立場からのものの見方はあっても、流されず自分を貫くこと。そんなあり方が人間と妖怪との新しい関係を形作っていくのでしょう。しみじみと良いシリーズでした。新章も期待。
 
アイスランドへの旅 (ウィリアム・モリス・コレクション)

アイスランドへの旅 (ウィリアム・モリス・コレクション)

再読。退屈な描写が大半を占めていてしんどいことこの上ないが、これが19世紀のアイスランドの地を旅した生の感触を伝えているのだと考えると、とても貴重で得がたいものだということに気付かされる。

疑いもなく家は昔ながらの土地の上に建っているのだろう。ああ、しかし、なんという卑小さと無力さが、かつてここにあった古い情熱と荒々しさにとってかわったことか! しかも、すべてが忘れられていないのだ。だから、気づかずにやり過ごすわけにはいかない。この土地の今の生活を補うものとして、昔の生活があるに違いない。(…)ここでの生活から何か慰めを得るとすれば、それは自分自身か、もしくは古い物語からであるが、物語そのものがとても楽しいというわけではないのだ。

 

英単語に強くなる (岩波ジュニア新書)

英単語に強くなる (岩波ジュニア新書)

語源を知って英単語に強くなろう本。これはわかりやすくていいですね。
 
時計館の殺人 (講談社文庫)

時計館の殺人 (講談社文庫)

長さのわりには可もなく不可もなく。時計館という場はいくらか魅力的ですが、ネタとしては既視感を拭えない。あまりに無差別に殺されるせいで「誰がなぜ殺されるのか」といった点を楽しむ余裕すらなく、どうせみんな殺されるんだろうなと身も蓋もない全滅ムードを感じて辟易してしまった。しかも謎が出尽くした頃には登場人物がほとんど残ってないので犯人がわかりやすい。時計だらけの変な屋敷に閉じ込められて殺人鬼に狙われるというシチュエーションを楽しむのがいいのかなぁと。