9月第3週

諳んじたい俳句88―世界最短詩型の美しい日本語表現
片山 由美子 石飛 博光
日本放送出版協会
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ごく簡単な解説と書が並べられている。精神性があるのもいいが絵画・視覚的なインパクトはやはり強いと感じた。あと別々のものを組み合わせる「取合せ」が肝。
気に入った句は以下。

鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし
赤い椿白い椿と落ちにけり
滝落ちて群青世界とどろけり
神田川祭の中をながれけり
戦争と畳の上の団扇かな
葉桜の中の無数の空さわぐ
一つづつ灯を受け止めてさくらん
秋風や模様の違ふ皿二つ
硯洗ふ墨あをあをと流れけり
をりとりてはらりとおもきすすきかな
夜の卓智慧のごとくに胡桃の実
しずかなるいちにちなりし障子かな

 

小説家の庭
小説家の庭
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丸山 健二
朝日新聞社
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丸山健二が丹精した庭にアフォリズムを添えて紹介する写真集。書いてあることはどうにも厭世的でなんだかなと思うが、庭は洋風とも和風とも言えぬ調和を見せており、華美ながらも陰があって不思議な気品を漂わせている。暗いトーンの中に鮮やかな色が沈んでいるのがとてもエロティック。ただ、愛しさあまってか対象への距離が近いのがちともったいない。