狐の剃刀

子供が三、四人か集まって
ぎらぎら光る石を中心に
右に行ったり左に跳んだり
遊んでいる脇をすり抜けて
山際の道をさらに奥処へ進むと
途中から分かたれた黒土の
砂利も敷かない私道があり
赤錆びた機構や焚き火の跡が
おぐらい蔭に沈んでいた


すぐさま地図を確認し
確かこの上だったと斜面を見れば
かすかに葉叢を抜けた午后の陽が<まだ燃えているか>
いくつも咲き乱れた赤花を
まるで陽炎のようにゆらゆらと
恐ろしいばかり艶やかに透かした


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