2007-03-08 水のように 詩 菫を踏んで井戸に出て むこうからこぼれる人を押さえる 押さえた腕が濡れてくると 泣いているんだ と気づく いくつかの涙の粒が草にかよっていて 昼の庭でくるくると巻かれながら 湿った雲が頭をかすめていく 葉に浮き出た錆を流すように 水のようにゆらめいて どこかへ去った響きがくりかえされる 巡る生滅のふちで そのささやきを聞いて暮らす