斎のあとで

土間に行く
足の裏に冷えた空気
石を渡ってゆくと
人が追いかけてくる
首を絞めようとするので
猫をけしかける
ぺたぺたと渡ってゆく
水をこぼさないように
名前を呼ばれないように
縁を出る
庭は荒れている
井戸も枯れていて
水をこぼしてしまった
このときに気づけばよかった
辻に葬列があり
夕暮れにちらほら灯りが立つ
誰を呼べばいいのか
あやめもわかぬ暗闇で
死者の白布がぼうっと光る
冷たい息を吐きながら
おまえはいつもそうなんだと
そこで一生後悔する