奥座敷

めしを湯飲みに詰めていると
襖のむこうから男が来て
大勢待っているんだから と
できたはじから持っていってしまう
躍起になって熱いめしを
次々にしゃもじでよそいつけ
もう塩をふりかける暇すらない
こんな山奥に連れてこられて
一体いつまでこうしているのか
泣きたい気持ちになってくる
一体いつまでこうしているのか
すると突然襖がいっぱいに開いて
見れば暗い座敷に誰もいない
ただ百年も前からそこには
座布団が並んでいるだけだった