2008-10-03 賽の原 詩 焼かれている途中で 目を覚ます こともあると語りあった後 夜にかけては 怒った牛の悪魔になって 土中から きれいな骨を選り分ける ひとつふたつと 数えていけば 釘で書いた字のように 細い身をよじらせて泣いたり 歌ったりしているのが ここにも幸せはあったと よくわかる 満ち干が正直なときは どこか遠くで流された 魚の血が混じり やがて運ばれてきた海流に 素足をひたし 舟を浮かべて どこまでも行こうと たがいの瞳を覗く 二匹の牛の 人々がいる