2009-06-16 茅の先 詩 茅の先から男が来る まるで漂うように歩いてきて 魂がないのかとも思う と目の前で立ち止まり おまえか と問うので そうだ と答えると 光るほど尖った釘を 喉に突き刺してくる あまりの痛さに涙が出る しかし喉を一突きされたので 悲鳴のひとつも上げられず かひかひと息が漏れる 漏れた息が泡になって 顔のまわりにまといつく 何も見えずに首を揺らしていると ごうっと強い風が吹いて 無数の茅の一本になり どこまでも続く地平にむかって 静かに静かに囁くのだ さやさや さやさやと