9月第3週

名作だそうなので読んでみた。誰もがひとつやふたつは持っているであろう記憶に訴えるところがあって、未知を前にした子どもの頃の気持ちや思春期の甘ずっぱさ(つまり「夏」の一語に象徴される情感)が思い起こされる。ただ、ラブレターをもらってもドキドキしすぎて開けられないくだりとかは、読んでるこっちはもういい大人なので(笑)、さっさとしろというような身も蓋もないことを思ってしまった。実際そういう大人ポジションのキャラも出てきますが。ケータイではなくて公衆電話や無線が活躍してるのもポイントですね。
 地球物理学者が見たアイスランドということで、プレートが生まれる海嶺の島国の成り立ちからはじめ、風土に絡めてその暮らしを見ていく。個人的にエッダ・サガの神話のイメージが強かったので、プレート移動で引き裂かれる箇所に位置するために火山活動が活発だという説明は新鮮だった。ギャオ(大地の裂け目)はこうやってできるんだな。
 
文章の品格
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林 望
朝日出版社
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自分を客観的に見て常日頃から意識を高めつつ、好きな文章を真似る、それが文章の上達法だとのこと。なにか書き写してみようか。
 
よもつひらさか往還
よもつひらさか往還
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倉橋 由美子
講談社
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買い直したので再読。やはり必要なことが必要なだけ書かれてある文章は素晴らしいものですね。飽きずにまたくりかえし読めそうです。
 「文車日記―私の古典散歩」だけ読んだ。古典66作品を気ままに語り倒すエッセー。ほとんど創作の域に踏みこんでいる自由さがほほえましい。平家物語のおもしろさには驚愕した。