10月第4週

京都 紫式部のまち―その生涯と『源氏物語』
坂井 輝久 井上 匠
淡交社
売り上げランキング: 676643
紫式部の生涯を辿り、エピソードとともにゆかりの地を紹介する。父の越前赴任への同行や彰子との関係、細かいところでは夕顔のモデルになった人物「大顔」の事件など、物語執筆の背景がわかる。「道長一条天皇を火葬してから、天皇が父の円融天皇陵の傍らに土葬するよう遺言していたのを思い出したという。」道長うっかり。
 
描かれた黄泉の世界・王塚古墳 (シリーズ「遺跡を学ぶ」)
柳沢 一男
新泉社
売り上げランキング: 367903
写真集だと思ってたけど結構文章が多めの本だった。レプリカを見に行くしかないか。
 生態学のコンパクトな入門書。著者の専門のためか鳥の行動に関する記述が多い。生物群集をパズルのピースにたとえて絶滅・外来種を説明するのがわかりやすかった。エネルギーとコストについては気にかけていきたいところ。
 
源氏物語の脇役たち
源氏物語の脇役たち
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瀬戸内 寂聴
岩波書店
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源氏物語の脇役18人を紹介。脇役といえど話を進めるには必要不可欠なわけで、寂聴流に丁寧に拾い上げられている。各人それぞれが自分の立場や出自などに囚われていることはあっても、それほど際立って悪い人間はいないように思った。みな人間的でいちいち存在感がある。
 
家守綺譚
家守綺譚
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梨木 香歩
新潮社
売り上げランキング: 72337
再読。あっさり軽くて時々読みたくなる。不思議な風物に対して主人公が「これでは深山の奥にしか棲息できまい」と述懐するのが切ない。家を守るという決意はそれらを引き受けていくということなのだなぁ。
 
怪奇小説傑作集5<ドイツ・ロシア編>【新版】 (創元推理文庫)
H・H・エーヴェルス他
東京創元社
売り上げランキング: 275729
ドイツ編だけ再読。「蜘蛛」、ひねった見方をすれば「幽霊たち」みたいな話にもなる。最後に主人公が自分の名前を書き続けるのが示唆的。「イグナーツ・デンナー」、最初読んだときはかなり楽しんだ記憶があるのだけど、今読むと大仰さが若干気になる。とはいえデモニッシュな雰囲気は嫌いではない。古本屋の片隅でこんな本を見つけたら狂喜するレベル。それと解説で「魔法使いになるためには、一生涯精進をつづけ、独身を保つことが必要」という一節があってくすっと笑った。
 
沖縄の歴史と文化 (中公新書)
外間 守善
中央公論社
売り上げランキング: 77212
家族が旅行に行ってきたので沖縄を知るきっかけになればと思い読了。恥ずかしながら沖縄の歴史にはまったく不案内だったため興味深く読んだ。日本の歴史と重ねあわせることで幾分視野が広がった気がする。