4月読書記録

■英国ファンタジー紀行 (Shotor Travel)
魔女のための駐箒場っておもしろいなあ。粋な遊び心だ。
読了日:04月30日 著者:山内 史子,松隈 直樹
 
■月の本―perfect guide to the MOON
月は想像力を反射する鏡だという記述がよかったかな。まあテキストはアレなところもあるので流し読みでさらさらと。月面図は集めてみたい。
読了日:04月29日 著者:林 完次
 
日本人の知らない日本語
たしかに「メメタァ」「メギャン」は日本人相手でも説明が難しい。
読了日:04月29日 著者:蛇蔵&海野凪子
 
■月の本
月に関する知識を集めた軽い本。月狂条例(ルナシィ・アクト)なんて法律があるのか。
読了日:04月28日 著者:ドナ・へネス
 
■もうすぐ絶滅するという紙の書物について
エーコとカリエールの二人の愛書家による対談。二人とも特に紙の書物の絶滅を危惧しているわけではなく、本は車輪のように進化しきった存在であり、たとえ電子書籍が台頭しても残り続けるという見解を示している。その合意の上で、技術の進歩や情報の増大に際していかに本を選んでいくか、いかに知を残していくかのフィルタリングの問題を提示し、さらにはフィルタリングの別の形態として焚書や消失本などにまで話題が及ぶ。いかつい見た目のわりには気楽に読める内容で楽しかった。本への愛が溢れている。
読了日:04月27日 著者:ウンベルト・エーコ,ジャン=クロード・カリエール
 
■本棚の歴史
本棚の歴史、つまり書籍管理の歴史。普段我々がさほど意識せず利用している本棚も、遡れば修道院の個人用閲覧席(キャレル)になり、かつて本は書見台に鎖で繋ぎ止められていたのだという。また、本棚にとどまらず書斎や図書館、書庫や書架についても解説されている。

ここで重要なのは、本と本棚が別々に進化するのではなく、形態や機能、材質、経済性、用途などの点で、お互いを規定し合いながら、いわば共進化の過程をたどってきたことである。

読了日:04月26日 著者:ヘンリー ペトロスキー
 
■フューチャー・イズ・ワイルド完全図解ーーThe WILD WORLD of the FUTURE
こっちは図版をメインにして説明や捕捉をかみ砕いて付加している。
読了日:04月25日 著者:クレアー パイ,疋田 努
 
■フューチャー・イズ・ワイルド
五百万年後、一億年後、二億年後の三つの時代の地球環境と生物をシミュレーションする企画。大陸の変動や気候の変化の予測をもとに、これまでに得られた生物学の知見を適用して未来世界を組み立てていく。素人にはこれにどれだけ妥当性があるかわかりづらいけど、適応放散や共進化などを具体的な想定で説明してくれるのはありがたい。奇抜なイメージを面白がっているうちに自然にわかってくるみたいな。個人的にはバンブルビートルの生態がお気に入り。
読了日:04月25日 著者:ドゥーガル・ディクソン,ジョン・アダムス,松井 孝典,土屋 晶子
 
■生命進化7つのなぞ (岩波ジュニア新書)
原始のスープから人間までの7つの発展段階を解説。進化の流れが大雑把につかめたのはいいが、いささか話がミクロすぎて初心者にはきつかった。「DNA→mRNA→タンパク質」これくらいが今の自分には精一杯。
読了日:04月24日 著者:中村 運
 
■進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 (323))
進化生物学の基本が知りたかったので。「自然淘汰に目的はない。遺伝子の変異はランダムに無方向に生じる」「進化は進歩ではない」「適応は万能ではない」これは押さえておかないとね。
読了日:04月24日 著者:長谷川 真理子
 
■眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
カンブリア紀の生物爆発は眼の誕生による生存競争の激化で引き起こされたという「光スイッチ説」を提唱している。説自体もさることながらそこに到るまでの過程が非常に充実していた。仮説や証拠を積み重ねていくミステリの形式はこんなとき便利だなと思ったり。バージェス動物の体色を復元するくだりは著者の興奮が伝わってきて感動する。
読了日:04月22日 著者:アンドリュー・パーカー
 
■赤い竪琴
渋い恋愛小説。メインの二人の姿に重ねて過去の詩人の恋が、そしてオルフェウス神話や鯨の歌が丹念に織りこまれている。二人を繋いだ詩稿や赤い竪琴が象徴しているものを考えると、これは恋愛とともに詩と音楽の永遠性を歌った物語なのだろう。徹頭徹尾これといって超常的な出来事はないのに幻想味を感じさせる筆致は見事。
読了日:04月20日 著者:津原 泰水
 
■たまさか人形堂物語
人形修繕を請け負う人形店が舞台の短編集。「人形」がテーマになっているだけあってそれに託された心の模様を描きつつ、巧緻な手際でミステリと幻想小説が渾然一体となっている。表紙で油断したがこれは確かに津原泰水作品なのだった。読み終えてズデニェク・パラフを検索した自分は完全に手玉にとられている。
読了日:04月18日 著者:津原 泰水
 
■会話を楽しむ (岩波新書)
欧米と日本の対比から会話の心得を説いている。実用一点張りの形式的な会話を避け、心を開いて「対等に話す権利を尊重する」。まさに楽しかった記憶だけが残る会話のような本。実用的ではないがハウツー本を読む前にはいい。
読了日:04月17日 著者:加島 祥造
 
■子どもの宇宙 (岩波新書)
子どもの内面の宇宙を児童文学と臨床の知見から明らかにする。「子ども」とあるがこれは大人にも有益で、子どもとの付き合い方についてはもちろん、秘密や死や異性など、成長することが普通考えられているよりも内面の世界によっていることがよく理解される。秘密を持つということは「私」の存在の独自性を証明することになり、アイデンティティの確立に深く関わっている。ゆえに他人の秘密はおろそかに扱っていいものではないし、秘密をともに生きることがコミュニケーションの中で重要な意味を持つ。

急激で極端な改善を願う心の背後には、相手の死を願う気持が潜在しているとさえ言えるかも知れない。

読了日:04月16日 著者:河合 隼雄
 
■作家と温泉---お湯から生まれた27の文学 (らんぷの本)
そういえば昔の作家って温泉ばかり行ってるな、と思いながらぱらぱら。漱石からつげ義春まで広くカバーしてある。
読了日:04月15日 著者:草なぎ 洋平
 
■猫森集会
ふとした時に不思議な世界に行って帰る物語を収めた短編集。ウサギ穴や鏡ではなく紅茶のカップやパソコンの画面などが入り口になっている。思いのほか意識下に入っていくことに自覚的で、ぞっとするようなイメージもちらほら散見される。もう少し振り切れない感じもあるがファンなら楽しめるかな。あとがきで「骨の駅」に言及が。
読了日:04月14日 著者:谷山 浩子
 
■沈んだ世界 (創元SF文庫)
異常気象によって水没した地球が舞台の終末SF。地球環境が原始に戻っていくにつれて人間の思考にも変化が現れる。それは失われた楽園への回帰であり、母胎への回帰である。正直言ってあまり楽しめなかったのだけど(古めかしい訳で描写が続くのがつらかった)、「内宇宙」こそSFの主題たり得るという主張は理解できる。あとは軍人・海賊の表裏一体の造形にも注目。
読了日:04月11日 著者:J.G.バラード
 
■死体が語る歴史
古い死体から随分多くの情報が得られることに驚くとともに、死体がたどった数奇な運命にも色々考えさせられる。やはり聖遺物やミイラの文化が定着していると違うなあ。頭蓋骨を調べたら中から壺が見つかったなんてのはまるで幻想小説のようだ。
読了日:04月10日 著者:フィリップ・シャルリエ
 
英米超短編ミステリー50選 (光文社文庫)
一ヶ月くらいかけてちびちびと。大して残るものはないがこんなもんだろう。
読了日:04月08日 著者:トニー ウィルモット,ヘレン メリアン,ヘンリー スレッサー,パトリック アイアランド,ナンシー ピカード
 
オスカー・ワイルドとキャンドルライト殺人事件
オスカー・ワイルドを探偵役に据えて19世紀ロンドンの超難解事件を斬る!というわけでは全然なくて、ホームズをリスペクトしたキャラ配置でコナン・ドイルや有名人を登場させつつ、わけのわからない言葉を吐く奇矯なワイルドさんとピクニックを楽しもうといった趣。本筋の謎解きはわりとどうでもいい。作者が本職の伝記作家なので史実に基づいた骨太なお遊びが散見される。あとチップばらまきすぎ。
読了日:04月02日 著者:ジャイルズ ブランドレス
 
■私の浅草 (新潮文庫)
大正時代の浅草の思い出を綴ったエッセイ。普通我々が想起する「下町」のイメージはこういうものだろう。不自由だからこそ温かなコミュニティの姿。戻りたいとは思わないが。
読了日:04月01日 著者:沢村 貞子