6月第2週
霊感があると自称する人々を取り上げ、彼らと社会との関係を見る。少女論とあるがこれは便宜的なもので、「性別に関係なく、民俗社会の世界像のなかで暮らしている伝承者タイプ」が対象らしい(とはいえ「少女」とした是非は別口で問われるべきだが)。従来の村社会にあった「民俗知」が一部の人に都合よく使われ、それが現代的なコミュニティでいびつに増幅されているとのこと。オウム事件が尾を引いているのか異界に近しい人に批判的だが、90年代の怪談ブーム周辺の事情は説明されている。強弁を了解しつつざっと把握するにはいい。
未公開鉄道古写真―各地の消えた鉄道が現代に甦る (別冊歴史読本 57)
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ひとまず通読。「あらゆる『人工物』を身体や精神の『拡張=メディア』と捉え」たマクルーハンの思想をわかりやすく解説している。提示された具体例のほかに身近な物事を当てはめながら読むと理解が進む(疲れるけど)。もう何度か読んでみよう。
ロシア・アヴァンギャルドとともにあった華やかなりし絵本文化を展望する。ロシア革命後、児童教育が国家的な急務とされ、未来派や構成主義の成果をもとに質の高い絵本が続々と作られた。なのでデフォルメの効いた構成的な絵本が主流を占める。ポップで軽やかな絵は眺めているだけで楽しい。それと個人的には文の比重が大きいのが意外だった。『森は生きている』のマルシャークやダニイル・ハルムスなど、主に詩人や作家が文を担当している。暗い時代を前に幸福なひとときだったのだなあ。
私たちはなぜ狂わずにいるのか (新潮OH!文庫)
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春日 武彦
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コロニアル様式というのかな。空白に充満する装飾が宗教性と土俗的な雰囲気を強く感じさせる。特徴としては、陰影が濃い(これは写真によるかも)、タイル等の過剰な装飾、バルコニー、漆喰・木・鉄。ゴシック・バロック・アールヌーヴォーを南米流に作ってみたら凄いものができたという感じ。中でもメキシコ・グラン・ホテルの壮麗なホール(表紙)は一見の価値あり。
http://tumblr.com/xlf2v9zvmk
メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
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松永 和紀
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