2月第4週

デカルトの骨 死後の伝記
ラッセル・ショート
青土社
売り上げランキング: 194443

何世紀もの間にデカルトの骨に関わった人々は多い。だが印象的なことに、彼らのほぼ全員が何らかの意味で「近代性」の一つの側面を体現している。

フランス革命、進化論、今日のテロリズムと、信仰と理性をめぐる問題の根底には常にデカルトの思想がある。本書はデカルトの骨の行方を追うことで、デカルト思想が近代世界にどのように波及していったかを見る。骨を追いかけるという奇妙な趣向もさることながら、エピソードのひとつひとつが抜群に面白い。心身二元論を唱えた人物の骨がこのような数奇な運命を辿るとは皮肉だ。
 

博物学の黄金時代 (異貌の19世紀)
リン バーバー
国書刊行会
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19世紀、英国は空前の博物学ブームに沸いていた。上流階級、下層階級、当時地位の低かった女性にまで、博物学は知的好奇心を満たし健康の増進に役立つものとして大いにもてはやされた。本書はその社会的背景および人物列伝、ダーウィン進化論の台頭を縦横無尽に論じる。ダーウィンまでの博物学は自然神学に結びつき、自然を解明することは神の御心を解き明かすことと信じられていた。ゆえに自然のすべては聖書に付会され、自然は神が人間のために用意したというような説がまかり通る事態となる。ダーウィンは実証的な態度でそれに挑んだ。
メモ:1845年、ガラス税撤廃。アクアリウムブーム。