3月第4週
ゴーレムが現れるというゲットー(ユダヤ人街)を舞台に、記憶を失った主人公ペルナートは、街の様々な人々に関わることで己を発見していく。ゴーレム伝説、入り口のない部屋、酒場、タロットカード、夢、カバラ…などなど、ユダヤの秘教的な雰囲気に幻惑させられる。が、どうにも盛り上がらない展開に焦れに焦れた。格段描写がいいわけでも人物が面白いわけでもなく、ではボルヘスが愛読した本書の魅力とは何だろうと思っていたら、最後の最後に物語を壊しかねない結末が待っていた。これには唖然。幻想小説はこういうことするから油断ならない。
もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら (幽ブックス)
posted with amazlet at 12.03.25
ピープス氏の秘められた日記――17世紀イギリス紳士の生活 (岩波新書 黄版 206)
posted with amazlet at 12.03.25
レンブラント (アート・ライブラリー)
posted with amazlet at 12.03.25
「テュルプ博士の解剖学講義」は肖像画としての性格が強く、画中の人物の一人が手にした紙片に、描かれた人物の名前が記されている。衝撃的だったのは「デイマン博士の解剖学講義」の存在で、こちらは頭部の解剖を描いているのだけど、解剖学者の首が画面の上端で切れている、つまり頭部のない人物が死体の頭を解剖するという恐ろしい構図になっていた。絵が破損したためこのような形になったらしい。
土星の環―イギリス行脚 (ゼーバルト・コレクション)
posted with amazlet at 12.03.25
紙上連載をまとめたもの。スクラップしていたのですが本になったので読んでみました。廃絶が多い中、こういった形で残してもらえるのは嬉しいです。