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4 彼は夏でも厚い外套を着て、顔に包帯を巻き、藁のような髪で目を隠していた。ある時、酒に酔った若者が彼に難癖をつけた。「一体どんな顔をしているんだ?」 蹴り倒した彼に馬乗りになり、包帯を引き剥がす。しかしそこには何もなかった。ただ芳しい薔薇の…

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1 彼女が死んで数世紀。その影響は長く後世におよび、もはや彼女を知らない人は皆無と言える。しかし具体的に何をやったかは知られていない。忘れられた偉大なる事績を記念するために伝記を書きたいがどうか、と台所の本人に訊ねると「プライベートに触れな…