M・R・ジェイムズ怪談全集〈1〉

 読了。おもしろかったー。著者は学者業のかたわらに趣味で怪談を書き続けた英国怪奇小説の巨匠。河出文庫のアンソロジー「恐怖通信」所収の「バラ園」を読んだときから気になってて、やっとまとまった形で読むことができた。あまり凝った心理的な怖さではなくて、普通に幽霊とか魔物が現れたり呪いや祟りが降りかかる、といったシンプルで直球な作風。くわえてこれが肝なんだけど、どこをとっても好古趣味であふれていて、古書や古物や古建築にまつわる話ばかり。たまらんです。集中でのお気に入りは、魔女狩りを題材にした「秦皮の樹」、存在しないはずの部屋の恐怖を描いた「十三号室」、宝探しの顛末「トマス僧院長の宝」、庭園迷宮怪談の「ハンフリーズ氏とその遺産」…って欲張って4作も挙げてしまったけども。粒揃いで楽しめました。ちなみにイギリスではクリスマスに怪談を読む習慣があるらしい。


 次は何読もうかな。あいだに1、2冊挟んでから2巻に移りたい。SFでも読もうか。あーあと稲生平太郎の本が面白そう! 今度買おう。