ここに眠る

石のおもしをのせて眠る
石のおもしをのせた真夜中に
紫の腕がやってきた
紫の腕はふるふる震えて
「生きたい、生きたい」と泣いていた
かわいそうに思ったので
布団の中に入れてやったら
ぎゅっと握りかえしてきた


石のおもしをのせて眠る
石のおもしをのせた真夜中に
緑の腕がやってきた
緑の腕はがらがら声で
「どこへやった」と聞いてきた
その声がどうにも恐ろしかったので
戸口のほうを差して
山のむこうへ逃げたと答えた


呪文を唱えて雷を見送る


朝になると布団の中には
紫の腕が残されていた
もう冷たくなっていて
仕方がないので
庭木の根元に埋めてやった
石のおもしを置いてやった


そんなことがあった