2007-02-03 anthology 詩 霧のたちこめる暗闇に ただ涯てしなく絶壁が聳え かつて上を目指すものはなく 落ちる礫さえひとつもない その中腹に穴があり 洞から漏れる光があり 何者かアモルフの影が 浮かれ踊る影法師が 空もなく地もない闇へ たらたらと溢れ出るばかり わたしはそれを戦前の 古いanthologyの中に 薄墨色の挿絵として いかにもありありと見た