ジェイコブス・ラダー、他

ポール・アンダーソン「イベント・ホライゾン」、7年前に海王星付近で消息を絶った深宇宙探査船イベント・ホライゾン号から救難信号が届いた。救助隊はイベント・ホライゾンの推進システムの設計者を連れてただちに事態究明に向かうが…。レンタル屋でこれとバタリアンを一緒に借りて見ていた子供の頃の自分は間違ってなかった。予算かけまくりの美術がかなり良く、役者もサム・ニールやローレンス・フィッシュバーン(モーフィアスの人)が出てたり豪華だ。宇宙に放り出されて自力で戻ってくるおもしろ黒人もいる。一見SFのようなホラー、それもヘルレイザーとシャイニングの中間に位置していると言えばいいか。この監督は変なハイテクとホラーのB級感が魅力だな。
中川信夫「地獄」、1960年の映画というのを考えればこれでも凄いのかな。前半は主人公を含め因果な人物が全員死に、後半は地獄で責め苦を受ける様を描く。カルト映画らしいがオープニングや引きの絵の美しさ以外は見るところがない。くるくる回るモチーフが頻出するのは輪廻の象徴か。以前見たこの人のドラマ(日本怪談劇場・牡丹燈籠)が良い出来だっただけに残念。
エイドリアン・ラインジェイコブス・ラダー」、サイレントヒルの元ネタのひとつとして有名な作品。ある日のこと、突然地下鉄の車内でかつてのベトナムでの体験が蘇り、何者かに刺される夢を見てから、ジェイコブの日常には奇妙な幻覚が交錯するようになった。…これは地下鉄と病院の、裏世界そのものとしか思えないシーンに尽きる。頭がぷるぷる震える人とか気持ち悪いイメージを楽しみながら、不条理な展開とその帰結を見守ればいい。ただ個人的にはラストのテロップはまったく余計だった。そんなとってつけたようなので反戦映画ぶらなくても、変なイメージだけで突っ走ってくれてたらもっとよかったのに。