4月第3週

子どもの心理 (講談社学術文庫 63)

子どもの心理 (講談社学術文庫 63)

発達心理学の立場から小学校高学年までの発達を概観し、さらに「正直とうそについてのしつけ」「性についてのしつけ」の必要性を説く。1976年発行ということで素人目にもいささか旧弊に感じる部分はあるものの、大まかに全体を見れて良かったです。「うそ」についてはもう少し詳細に見てみたい。
 
放課後の時間割 (偕成社文庫)

放課後の時間割 (偕成社文庫)

人間の言葉を話す「学校ネズミ」が話してくれたふしぎなお話集。タイトルにあるように放課後のあの独特な空気を感じさせる話ばかりで、甲乙つけがたいですが、夜警員が出会ったふしぎな女の子の話「手の中のもの、なあんだ?」が特に好きです。話と話の間の学校ネズミと先生のかけ合いも絶妙ですね。
 パートナーの自殺で一人残されたコーデリア・グレイは、死んだ彼の探偵事務所を引き継ぐことになるが……。女性の自立と探偵の自立が重ねられた快作ですね。一通り事件を終えた後、まるで面接官のように立ちふさがるダルグリッシュとの対決シーンが見物。つかみはばっちりなので続編も読んでみます。
 
ことばと文化 (岩波新書)

ことばと文化 (岩波新書)

言語の恣意性とそこから生じる文化間のギャップ・多様性について。気楽に読めて要点がわかるといった風でよいかと思われます。
 これはこれでありだけど、まとめられるとありがたみが薄れた気がする。繊細な挿絵も雑に見てしまうし、全部読めるからいいというものではないな。
 
道化の民俗学 (岩波現代文庫)

道化の民俗学 (岩波現代文庫)

「異人論」に触れた今となってはあまり目新しい発見はない。加えて、若書きなのか迂遠な論調に少々難儀する。が、アフリカ民俗社会において、王への諷刺や嘲罵や盗みがさらに徹底化すると「王殺し」に至るとし、そこに「道化」の形象を見るという理路には感心した。あらゆるものを揺さぶる両義的な力を持つトリックスター=道化。ついでに付け加えると、結びで唐突に批評家の罵倒を始める著者の道化的な振る舞いがほほえましい(笑)

生に対してネガティヴなものに形を与えることは、とりもなおさず、それを生にとり込む行為に外ならない。

神的存在=欺瞞家という形象の神話的に有利な点は、彼が、至高神にはじまって、天上の神々から地下の神々に至るまであらゆる種類の神話的形象と矛盾なく関係を持つことができるという点にある。

生活空間の固定化を絶えず破壊しながら、日常の秩序を、思考空間のなかで別の形に置き換えてみることを可能にするような『生(エロス)』の媒体