5月第2週

〈悪口〉という文化

〈悪口〉という文化

喧嘩や合戦の場における悪口や、儀礼的な「悪口祭」を取り上げて悪口の社会的な意味を探る。共同体の観点から見れば、悪口は秩序を乱すものへの制裁ないしは排除であり、それと同時に秩序の維持強化をはかるシステムであった。原初的・自律的な制裁システムから近代的な司法・警察機構へと移り変わるとともに悪口が禁じられていく流れも興味深い。
 コロボックルの姿が見える男の子を中心としたお話。せいたかさんやコロボックル社会は後景に退きつつ、人間とコロボックルが力を合わせて行った共同事業が描かれます。マンネリ化を意識しているだけあってあっさりとした短編的な作品。
 ある意味で楽屋オチなわけですが、未来への展望を感じさせる長いエピローグといった風で良かったです。シリーズ通しての読者への贈り物のような巻でした。
 
日本木造駅舎の旅100選 (コロナ・ブックス)

日本木造駅舎の旅100選 (コロナ・ブックス)

駅舎そのものもいいけど周辺の環境含めての文化だよなぁ。花壇にねぎ坊主、クリーニング屋の看板、自転車、小学生の絵、猫、そして利用者。ファンの間で人気が高いらしい美作滝尾駅上神梅駅がやはり良かった。
 
一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)

一人の男が飛行機から飛び降りる (新潮文庫)

ラジオを聴きながら拾い読み。
 
Another

Another

ある中学校のあるクラスに伝わる血なまぐさい儀式のお話。700ページ近い大冊にもかかわらず驚異的にリーダビリティに優れるのはいいとして、肝心の内容のほうはほんとに芸風がブレないなぁと。ホラーというにはミステリに淫していて、強引な幕引きとともにもやもやとしたものが残る。謎を解けばそれでOKってもんじゃないと思うのだけど。で、映画『アザーズ』を意識したとありますが、中盤以降は『ファイナルデスティネーション』ですよね。
 再読。「きこえるのはきけきけきけの音/かたるのはよめよめよめの声」。ものすごくテクニカルな詩もあるが全体を通して若干荒削りに感じた。あとやっぱりタイトルは欲しい。