5月第2週
境界とは内と外の関係性のことにほかならず、日本の建築は柔軟に境界を操作して関係性を維持する知恵を持っていた。自他の区別がゆるかったから境界を意識してバランスをとっていたのかもな。
時計好きの浩子さんが時計の顔を持つ少女に連れられて時計屋敷を目指す。道中、様々に時計・時間に閉じこめられてしまった人たちと出逢い、浩子さんがたどり着いた先には……。んー、これはちょっとナンセンスが強くて、そのわりにはラストの解決が説明的に過ぎる気がする。一応時計テーマが貫かれているので統一感はあるけど、最後に来て「え、そんな話だったの」と唐突に感じた。まあこの投げ出されたあとの妙な切なさが魅力か。
レヴィ=ストロースゆかりの地をめぐる写真集。レヴィ=ストロース邸の庭から始まって世界中をめぐりまた庭へ帰る。京都の枯山水に続いてオーストラリアの砂漠があったり、アマゾン高地と石垣島の密林が対置されていたりして、風景の中にひとつの神話的構造が立ち現れてくる。モノクロの落ち着いたトーンが心地よい。
孤島の生物たち―ガラパゴスと小笠原 (岩波新書)
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蝶と蛾の生態を一通りカバーした写真集。写真は美しいし解説もきちんとポイントを押さえていて満足。幼虫には未だに慣れないけど気持ち悪さも魅力のうちだと割り切りたいところ。
日本の国宝、最初はこんな色だった (光文社新書)
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現代ヨーロッパの言語 (岩波新書 黄版 292)
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ツイッター 140文字が世界を変える (マイコミ新書)
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時間をかけて読んだが最後まで入りこめなかった。全体に漂う寂寥感、テーマを明確に打ち出さない姿勢、それらを描き出す詩的な筆致が魅力だというのは理解できるけど、自分はひたすらきまり悪く感じた。「どうかおしずかに」のハッピーエンドを許さない冷徹な結びは良い。ほとんどホラー。