7月第1週
凶笑面―蓮丈那智フィールドファイル〈1〉 (新潮文庫)
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北森 鴻
新潮社
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旅とは、目に見える光景やモノにだけでなく、本来は触れることのできないなにかに触れることではないだろうか。したがって、現実世界での距離の移動など、そこでは機能しなくなる。
つながり 社会的ネットワークの驚くべき力
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ミルグラムは、実験で観察した服従に関して二つの解釈を示した。一つは、人は同調性によって動機づけられるというもの。人は意思決定を集団やそのヒエラルキーに委ねる傾向があり、ことに抑圧されているときはその傾向が強まる。もう一つは、人は自分の行動から乖離し、自分を他人の意思の道具として見ることができるというもの。そうすれば、自分の行いに責任を感じなくてすむからである。
カンポ・サント (ゼーバルト・コレクション)
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思考する物語―SFの原理・歴史・主題 (Key library)
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自分探しも深入りしすぎると怖ろしいものを発見してしまうということが著者の経験や創作を交えて自由に語られる。「既視感の名所」というほどに不気味でいかがわしいエピソードの数々になぜか心地良さを覚えつつ、文章を書くことに自己の外在化を託す痛切さにも打たれる。厭世的に見えて実は熱い。
「なぜ竹取物語は昔話(口承文芸)として広く流布していないのか」を構造に注目して読み解く試み。外来のものである天人流謫の思想は日本の風土に馴染みづらく、それゆえ竹取物語は仏書漢籍に通じた知識人の創作なのではないかと結論づけている。また、垂直的な流謫の思想が馴染みづらいのは日本人の水平的宇宙観によるという考えを仮説として提示する。前半、昔話の構造とその背後にある論理について述べた部分がためになった。異文化が流入した場合、要素とともに構造も受け入れ側に合わせて変容する。
昔話は絶えず変容する。しかしその変容は構造の内部における変容であり、その意味で昔話は構造によって規定された文芸であるといえる。一方、昔話には伝承を担う人々の世界観や自然観が反映されており、昔話の構造も当然そうした世界観・自然観によって支えられている。これが昔話の一般的特性である。