2011-09-05 竹取 詩 竹取 竹藪は真夜中 地面を這うようにして 皿の破片や 古銭を拾い集めていると 突如として 立派な竹に行き当たる 触ると不思議に温かく 内からはほのかに光が漏れている これは伐らねばなるまい 伐ってこの中に 姫君がまだ生きているか 死んでいるならどんな死に顔か 確かめねばなるまい 鉈を必死に振るい 手ごわい竹を叩き 時には自分のものか誰かのものか 叫びを聞いたかもしれない ようやく割り砕くと 割れた隙間から 青白い光がこぼれ落ちる 月の光がたらたらと あとからあとから湧いてくる それは地下の国 あの根の国から 吸い上げられた漿液 身体に絡みつき 甘ったるい匂いに包まれて 肉が溶けていく