竹取

竹取

竹藪は真夜中
地面を這うようにして
皿の破片や
古銭を拾い集めていると
突如として
立派な竹に行き当たる
触ると不思議に温かく
内からはほのかに光が漏れている
これは伐らねばなるまい
伐ってこの中に
姫君がまだ生きているか
死んでいるならどんな死に顔か
確かめねばなるまい
鉈を必死に振るい
手ごわい竹を叩き
時には自分のものか誰かのものか
叫びを聞いたかもしれない
ようやく割り砕くと
割れた隙間から
青白い光がこぼれ落ちる
月の光がたらたらと
あとからあとから湧いてくる
それは地下の国
あの根の国から
吸い上げられた漿液
身体に絡みつき
甘ったるい匂いに包まれて
肉が溶けていく