9月第4週

考える短歌―作る手ほどき、読む技術 (新潮新書)
俵 万智
新潮社
売り上げランキング: 30265
とても実用的な短歌入門書。助詞や動詞の扱いや比喩など、少し工夫するだけで印象がはっきりと変わるポイントが紹介されている。これは軽く読めて効果抜群ですね。曖昧さを避けて言い切るのが肝心、と。
 フーコーの概念装置で読み解くルソー。気持ちよく眠れた。これから読む人は先に訳者あとがきに目を通したほうがいいです。
 
絵小説
絵小説
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皆川 博子
集英社
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さらっと読んだ。宇野亜喜良の絵は軽くてあまり合わないなと思いながら読み進めたのだけど、作者のリクエストだったとは。内容は旧来の日本の風景に西洋的な幻想が入り交じるもので、かといって決して「古き良き」などではない重苦しさがあるのがよい。好きな話は、転生をくり返す男女を描く「美しき五月に」、ややエッセイ風でもある締めの「あれ」。この締めがなければ弱かったかも。
 
印象派の絵画 (アート・ライブラリー)
マーク パウエル=ジョーンズ
西村書店
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ロマン主義的な追放者の典型をクールベに見て、現実を描くことは「社会的文脈と解釈にかかわる行為」だとして、印象派が生まれる下地が形成されたとする。タッチの粗いのが印象派というイメージが漠然とあるが、固定的な様式があるわけではなくて、アプローチを模索する運動と考えるのが現実に即している。一枚岩ではない。
 
シャガール (アート・ライブラリー)
ジル ホロンスキー
西村書店
売り上げランキング: 754997
ユダヤ神秘主義(ハシディズム)に彩られた故郷やパリの思い出をもとに、きらびやかな幻想世界を描き出している。原色を多用しているわりには落ち着いた印象を受けた。キュビスムを経て時代が進むとともに洞窟壁画のようになる。