12月第3週

世界傑作推理12選&one (1977年) (カッパ・ノベルス)

光文社
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クイーン編纂のアンソロジー1920年代から70年代までの短篇を集めたもので、文学的な価値観が選考基準のポイントになっているとのこと。古典の格調を持つ作品が楽しめる。スタンリー・エリンの有名作「特別料理」、死を賭した対決を描くリチャード・コンル「世にも危険なゲーム」、不条理で嫌な後味を残すヒュー・ウォルポール「銀の仮面」、フォークナーもかくやというほどのアメリカ田舎バイオレンスのウィルバー・D・スティール「人殺しの青」が良かった。古典ミステリを読みたい人間にとってこういった選はありがたい。
 
修禅寺物語 (光文社文庫)
岡本 綺堂
光文社
売り上げランキング: 631224
妖狐伝説に取材した「玉藻の前」、将軍・源頼家の末路を描く「修禅寺物語」の二篇を収録。どちらの作も因果の果てに倫理の向こうへと越境する様が鬼気迫る。筆致は違えど泉鏡花と似た世界を描いていると思う。