1月第3週

キャラの弱い主人公がひたすらお使いクエストを続ける。御者が主人公という以外特筆することがない。
 
暗い鏡の中に (創元推理文庫)
ヘレン・マクロイ
東京創元社
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突如解雇された女性教師。その原因は彼女の周囲で起きる不可解な出来事にあるらしいが……。というわけでこれはとても面白かった。終始幻想的な雰囲気がつきまとい、理性と非理性のせめぎあいがどちらに振れすぎるともなく、絶妙にあやふやなまま結末へ雪崩れこむ。このどっちつかずの不穏さがいかにも怪奇幻想していて良い。謎解きに関しては正直不満たらたらなんだけど、いろんな含みを持たせた結末があるからこそ、まあそれでもいいかという気になる。眠れぬ夜を過ごす諸兄諸姉はぜひ手に取られたい。
 
人形遣いと絞首台 (創元推理文庫)
アラン・ブラッドリー
東京創元社
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毒薬少女シリーズ第二弾。化学が大好き(ことに毒薬が好き)なフレーヴィアが、村にやってきた人形遣いの事件を解き明かす。今回も50年代のイギリスの田舎を味わいつつフレーヴィアの一挙手一投足を見守る感じで、ノスタルジーたっぷりの空気に時々シビアさが見え隠れするのがたまらない。でも基本呑気。
 

ハールストンまでの十五分間、私たちは彼のピックアップの運転席で黙ったまま隣りあい、私は田舎道のこの短いドライブが永遠に終わらなければいい、このままどんどん走って走って、はるかエルサレムまで行ければいい、と思っていた。