2月第2週

日本幻想文学史 (平凡社ライブラリー す 9-1)
須永 朝彦
平凡社
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(読んだのは旧版)
記紀の時代から近代にかけての通史と、幾人かの近代作家について簡単に論じる。神仙思想などの影響、古代と中世を繋ぐ能、短篇物語、江戸文化と、幻想文学に絞っているとはいえ範囲が広い。特に大陸の影響と芸能の存在は重要だろう。

幕府は政道批判を封ずるために、『天正以後』つまり徳川の覇権確立に関わる一切の事件ひいては現代の世相を読物や芝居に採り上げる事を禁じていたから、原則的に江戸時代の小説・戯曲は全て時代物である

以下は国書刊行会『日本幻想文学集成』の収録作家。これを指針にするのが妥当とのこと。
明治:森鴎外幸田露伴夏目漱石泉鏡花岡本綺堂正宗白鳥
大正:谷崎潤一郎小川未明芥川龍之介佐藤春夫室生犀星宇野浩二豊島与志雄内田百輭江戸川乱歩宮沢賢治
昭和:川端康成稲垣足穂牧野信一夢野久作小栗虫太郎久生十蘭石川淳岡本かの子中島敦坂口安吾神西清円地文子花田清輝三島由紀夫吉田健一島尾敏雄澁澤龍彦
他に安部公房日影丈吉中河与一林房雄福永武彦深沢七郎森茉莉中里介山国枝史郎横溝正史中井英夫
 

キルヒャーの世界図鑑―よみがえる普遍の夢
ジョスリン・ゴドウィン
工作舎
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デカルトも関心を持ったという知識人・アタナシウス・キルヒャー(1601-1680)を豊富な図版とともに紹介する。キリスト教の立場から多岐に渡る分野の物事を研究し、その業績は後世に多大な影響を与えた。澁澤龍彦『高丘親王航海記』の表紙絵の人です。