4月第4週

アイスランドの歴史と文学がコンパクトにまとめられている。理想に燃えるヴァイキングによって植民がなされ、文学においてはゲルマンの古俗を残しながらヨーロッパでも屈指の発展を遂げた。ヴァイキングの気風が議会の創立や文学の隆盛に関連しているらしいと知れたのは収穫だった。また、キリスト教化とともにそれが弱められ衰退していくというのも大方納得。エッダ・サガ各篇の手引きにもよい。
 マリノフスキー『西太平洋の遠洋航海者』はトロブリアンド諸島のクラ交易についての記念碑的研究。教科書程度の知識があるなら読まなくていい。レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』は抄訳なので、きちんと読みたいなら完訳版を。座右の書になりそうな気がする。