6月第1週
(読んだのは旧版)
官僚らを相手に語られる老人の話は、枠物語の形式を採りながらもエピソードからエピソードへと自在に脱線し、次第に迷路のような全体を形作っていく。次々に繰り出される不吉で底の知れない幻想に気持ちよく酩酊させられた。後半の展開で批評性がぐっと前に出てくるとはいえ、やはり枝葉の物語がどれも魅力的で、老人の話だけをずっと聞いていたかったとも思わせる。茶々が入らなければいくらでも続いたはずなんだよな。
以下再読。
新耳袋―現代百物語〈第1夜〉 (角川文庫)
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ひとつひとつの話は他愛ない。いわば掌篇集なわけで、形式の面からもう少し検討されてもいいと思う。
新耳袋―現代百物語〈第3夜〉 (角川文庫)
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面白かった。初読の時はいまいち楽しめなくて、それはどうも話が作り物めいて鼻についたからだけど、今回はまったく気にならなかった。前と好みが変わったのだろう。
光車よ、まわれ! (ポプラ文庫ピュアフル)
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