7月第1週

車窓から見える冥界じみたライン流域の眺め。

黄昏に物憂く流れる河、船べりまで水に浸かって一見静止しているような艀、対岸の藪、葡萄畑の繊細な陰翳、防砂壁のくっきりした斜め線、濃灰色の粘板岩の岩塊、先史時代の秘境に吸いこまれていきそうな峡谷、私の眼はそれらに吸い寄せられて離れませんでした。