『青白い炎』第一篇(その4)

わたしは親愛なる叔母のモードに育てられた。
風変わりな叔母は詩人であるとともに画家であり
グロテスクな成長と滅びのイメージが絡み合った
写実的な事物を好んでいた。
隣室の赤子の泣き声を聞きながら彼女が暮らした部屋は
そのまま手を加えずにおかれた。
そこに残るちょっとしたものが持ち主の人となりを表している。
珊瑚を含んだ凸レンズ製のペーパーウェイト
索引を開いたままの詩集(ムーン、ムーンライズ、ムーア人、モラル)
哀愁漂うギター、人の頭蓋骨
そして地方紙『スター』からの珍しい切り抜き
レッドソックス、チャップマンのホームランによって
 ヤンキースを5対4で破る」がドアに画鋲で留めてある。
 
わたしの神々は若くして死んだ。神を崇めることなど
下劣で、その根拠もあやふやに思えたのだ。
自由な人に神はいらない。だが、わたしは自由だったのか?
自然が我が身に分かちがたく結びついているのを、なんと豊かに感じていただろう。
わたしの子供っぽい舌はあの素晴らしいペーストの
なかば魚の、なかば蜂蜜の味を、なんと愛していたことだろう!
 
ごく幼い頃、わたしの絵本は
彩色した羊皮紙のように、わたしたちが住まう鳥籠を飾った。
藤色をした月の暈、血蜜柑色の太陽
アイリスの花輪、それとあの稀にしか起こらない
イリデュール現象――美しくもまた不思議なことに
山脈の澄んだ上空に
楕円形をしたオパール色の雲がひとつ浮かび
遠くの谷間にかかっていた雷雨の虹を
反射する――
そういったたいへん芸術的なものに囲まれて暮らしたのだ。