短編小説礼讃 (岩波新書 黄版 347)posted with amazlet at 10.08.08阿部 昭 岩波書店 売り上げランキング: 253778Amazon.co.jp で詳細を見る短編小説を文学作品の枠内だけではなく、巷に生きるもの、生活の最もありふれた経験としたとき、短編は「短い話」と…

百人一首―王朝人たちの名歌百選 (ビジュアル版日本の古典に親しむ (2))posted with amazlet at 10.08.01大岡 信 世界文化社 売り上げランキング: 391379Amazon.co.jp で詳細を見る百首の解題が一通り。こういうビジュアルブックの強みとして歌に合わせた写真…

パブーとかpixivの小説機能とか始まってますが、自分はひとまずpixivに作品を登録して様子を見てます。同人文化圏なのでパロディやSS書きにはよさそう。 http://www.pixiv.net/member.php?id=1860100

老人のための残酷童話 (講談社文庫)posted with amazlet at 10.07.25倉橋 由美子 講談社 売り上げランキング: 329654Amazon.co.jp で詳細を見る老いを中心にそこから生まれる欲や諦念などを描く短編集。童話というだけあってですます調ではあるが、内容はい…

部屋を掃除してさっぱり快適。

郵便が届く 土間には闇が煮凝っている 突然降り始めた雨が 突然止む いつでもそのようにして 決定がなされる 封をした血 もしくは黒い布 もしくは蛇の地図 砕けた枯葉 ばらばらの指 ばらばらの首 ばらばらと雨の音 花たちばなは井戸の底で 浮いたり沈んだり…

影を踏まれた女 新装版 怪談コレクション (光文社文庫)posted with amazlet at 10.07.18岡本 綺堂 光文社 売り上げランキング: 171987Amazon.co.jp で詳細を見る怪談会で話されたものを「青蛙堂鬼談」としてまとめたという体裁をとった短編集。中国志怪の翻…

女が鳥居で首を吊っている わたしはそれをくぐって行かねばならない ふらふらと風に揺れる足を押すと 垂れた髪の間から睨みつけてくる おれはここで道を切っておるのだ おまえは何の因果があるのだね わたしは答えられないでいる たぶん何かの用があって行く…

呪いの都市伝説 カシマさんを追うposted with amazlet at 10.07.11松山 ひろし アールズ出版 売り上げランキング: 490961Amazon.co.jp で詳細を見るカシマさんとは手足のない幽霊である。カシマさんは噂を聞いた人のもとに現れ、適切に対処しなければ手足を…

詩誌「雲雀料理」第8号が届きました。これから読みます。JOYじゃよ。 http://hibariryouri.web.fc2.com/

蘆屋家の崩壊posted with amazlet at 10.07.04津原 泰水 集英社 売り上げランキング: 498419Amazon.co.jp で詳細を見る主人公の「猿渡」と怪奇小説家の「伯爵」が遭遇した奇怪な出来事を描くホラー短編集。というよりはタイトルに示されているようにまさに怪…

みんなで作る黒歴史ノート http://d.hatena.ne.jp/hyperlore/ いわゆる中二病とか黒歴史とかいった衝動、あるいは益体のない与太話や誰も得しない分析考察。基本的にはそのようなダークエネルギーを具現化する機会を与える場です というわけで去年から参加中…

「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える (岩波ブックレット)posted with amazlet at 10.06.27土井 隆義 岩波書店 売り上げランキング: 16949Amazon.co.jp で詳細を見る個性を煽られその個性の承認を互いに求めるために過同調に陥っていく子ども…

「学校の怪談」はささやくposted with amazlet at 10.06.20一柳 廣孝 青弓社 売り上げランキング: 511110Amazon.co.jp で詳細を見るブーム期の出版・映像の変遷から、現場の分析、口承文芸・民話研究の流れまで広くカバーした論考集。わかりやすいまとめとし…

シャンデリアの下の馬の幽霊

流言の社会学―形式社会学からの接近 (青弓社ライブラリー)posted with amazlet at 10.06.13早川 洋行 青弓社 売り上げランキング: 325445Amazon.co.jp で詳細を見る現在までの流言研究を再検討し通論的に論じる。入門書を一冊かじった程度の人間からすれば、…

そういえば本は上方向に追加しているので上のものほど最近読んだ本ということになる（シリーズものをどばっと読んだときは1が上になるように並べ替えてる）。逆のほうがいいかな？/追記：現状のままで。

テステス。遊ばせていたアマゾンアソシエイトIDを今回から適用しました。それにともなって記法も変えるのでCSSをちょっとだけ変更。ついでにサイドバーも。以降、当日記経由で商品が購入された場合、ほんの少しだけお金が僕の懐に入ります。「これでうまい豆…

旅泊の空間―日本旅館建築新発見紀行 (別冊商店建築 (93))作者: 鈴木喜一,宮本和義出版社/メーカー: 商店建築社発売日: 1998/06メディア: ムック クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る各地の旅館建築を集めた写真集。古い旅館には建築家がいないこ…

よもつひらさか往還作者: 倉橋由美子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/03メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (14件) を見る謎めいたバーテンダーの九鬼さんの作るカクテルを飲んであの世とも異界ともつかない酔郷に遊ぶ連作短編集。幻…

ここで崖が崩れたことがあった 大勢が土の下に埋もれてしまい まとめて葬式を出すことに決まった それにはとむらいの家の数にだけ 茶碗をかけらに砕き 使者に持たせて知らせとする 各家がかけらを持ち寄れば 全き一個の茶碗ができあがる そうやって儀礼の場…

物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン (朝日文庫)作者: 大塚英志出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2003/04メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 138回この商品を含むブログ (139件) を見る「小説を書く」という行為を可能な限りマニュアル化して…

この畑では猿を作るという 春のある朝 まだ暗いうちに 大根のような葉を茂らせた畑から 泡の弾けるがごとき音を出して 猿が飛び出る 猿が土から勢いよく 無言で かつ しかめつらをして 農家はそれを収穫するでもなく 飛び出た猿がただ 空に浮かび上がって消…

夜々の旅―詩集 (1974年) (叢書・同時代の詩〈2〉)作者: 天沢退二郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1974メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る初期から夢記述への過渡的な詩集と言っていいか。のちにつながる表現も散見されるが…

〈悪口〉という文化作者: 山本幸司出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2006/11/16メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (11件) を見る喧嘩や合戦の場における悪口や、儀礼的な「悪口祭」を取り上げて悪口の社会的な意味を探る。共同体…

ちょっと一曲流していってくれと 手を引かれた先にはいかにも豪農風の屋敷があり その内庭といおうか畑地といおうか 平らにならした広場にはすでに人が立ち集まっていた 聞けば数十年に一度の祭りの前祝いということで 今日ははなればなれの親族が集結し 当…

りゅうぐうのつかいを飲んでしまった 寒天のようだったから つい つるつると飲みこんでしまった せっかく遠いところから来てくれたのに まさか飲んでしまうとは と 母屋の人たちは驚いている わたしも驚いている とにかく体に水を足してやらなければいけない…

かかとの痛みで目を覚ます 起き上がって見ると 猫がかじりついている しっしっと追い払う そしてまた夢に戻る 夢の中でわたしは井戸のそばにいる これから家に帰るところで 桶を抱えて立ちすくんでいる 早くしないと夜になる…… うだうだしているうちに 村の…