11月第4週

蝶コレクターの黒い欲望---乱獲と密売はいかに自然を破壊したか?posted with amazlet at 11.11.27ピーター・ラウファー 河出書房新社 売り上げランキング: 429588Amazon.co.jp で詳細を見る蝶には不案内なジャーナリストが蝶に関わる様々な人に話を聞くとい…

11月第3週

詩という仕事について (岩波文庫)posted with amazlet at 11.11.20J.L.ボルヘス 岩波書店 売り上げランキング: 31953Amazon.co.jp で詳細を見る詩がテーマの講演録。ボルヘスは自身を快楽主義の読書家と言っていたが、それは詩に対しても、ひたすらに美を求…

今週は廃人だった。

11月第2週

ボルヘス怪奇譚集 (晶文社クラシックス)posted with amazlet at 11.11.13ホルヘ・ルイス ボルヘス アドルフォ ビオイ=カサレス 晶文社 売り上げランキング: 140152Amazon.co.jp で詳細を見る古今東西の奇譚を収集した一冊。その性質上、百科事典を気ままにめ…

11月第1週

暴走する原発 チェルノブイリから福島へ これから起こる本当のことposted with amazlet at 11.11.05広河 隆一 小学館 売り上げランキング: 1426Amazon.co.jp で詳細を見るチェルノブイリのレポートに福島原発事故直後の状況を加筆したもの。初版は2011年5月2…

10月第5週

挾み撃ち (講談社文芸文庫)posted with amazlet at 11.10.30後藤 明生 講談社 売り上げランキング: 111598Amazon.co.jp で詳細を見る(読んだのは別の版) ある四十男が「とつぜん」思い出した外套の思い出を頼りに、来し方をたどり直して自己を探求する魂の…

烏瓜

廃バスの窓に無数の烏瓜

夜寒

着るほどに寂しくなりぬ夜寒かな

日曜日に別れを告げて

日曜日に別れを告げて あの人が欲しいと猫に頼んでも黙殺される血の日曜日 空色のホースの中をのろのろと運ばれていく真っ赤な金魚が 人のいない午後は眠くて寂しくてひよこを埋葬するにはぴったり 淡々と折りつづければ世の中がわかる気がする人形の指 陽が…

独楽の回転

独楽の回転 風ぐるまくるりくるりと目を回すロールケーキに巻かれて眠り 千年のあいだ噛んでたガムあげる兄さま姉さまご賞味ください 瀬戸物の茶碗が砕けてばらばらになりつつ地下を大冒険する 警官にやさしく肩を叩かれる 白い狐を見たことあるか ペリカン…

10月第4週

旅の冒険―マルセル・ブリヨン短篇集posted with amazlet at 11.10.23マルセル ブリヨン 未知谷 売り上げランキング: 641502Amazon.co.jp で詳細を見る五篇を収録。およそどれも詩的散文にプラスアルファして話がくっついている趣で、物語を楽しむというより…

まつりのあと

まつりのあと 百万の蛙と同じ数だけの忍者がいると思えば楽しい この夜の全ての書肆の灯りをも狂って吹き消す風のいじわる 大輪のひまわり折れているばかりこの世の息をあの世でも吸え 舞殿で無心におどる鬼の群 祭が果てたら車で帰る

星月夜

星月夜廊下は長くのびており

10月第3週

ドゥルーズ―解けない問いを生きる (シリーズ・哲学のエッセンス)posted with amazlet at 11.10.16檜垣 立哉 日本放送出版協会 売り上げランキング: 125594Amazon.co.jp で詳細を見る空虚を空虚として捉えるのではなく、別のパラダイムが生まれる現場と考える…

31-35

ゲリラ豪雨 ゲリラ豪雨 突如として大量に降る雨を 奇襲を行う ゲリラにたとえている 曇り空とともに雷鳴 合戦の予感に 鬼瓦は 武者震いに震える 地獄 川で冷やしていた西瓜が ぱっくりと割れて 下流は血まみれになる 子供らは群れ集って それを飲む 残念な人…

夏から秋

血を吐きたる祖父の楽器冷ゆる夏 方形の月訪れたる窓辺かな 方形の月の庭に歩み入る 地下界の延長として彼岸花

10月第2週

短歌をよむ (岩波新書)posted with amazlet at 11.10.09俵 万智 岩波書店 売り上げランキング: 36802Amazon.co.jp で詳細を見る鑑賞と作歌の方法を紹介し、さらに「素人の時代」と言われる現代の課題にも触れる。まず心の揺れを第一に置いて、それを伝えるた…

10月第1週

福祉国家の闘い―スウェーデンからの教訓 (中公新書)posted with amazlet at 11.10.02武田 龍夫 中央公論新社 売り上げランキング: 231608Amazon.co.jp で詳細を見る「理想的な福祉国家」とされるスウェーデンも、裏を返せば「開かれた全体主義」というほどの…

人間もどき

人間もどき 廃屋の畳の裏でにぎやかに繁栄していく福祉国家 豆球に妖精一匹閉じこめて九蓮宝燈夜は更けゆく 虫けらになりたい虫になれなければ活版刷りの旧字でもいい 子供らはぱ・い・な・つ・ぷ・ると唱えつつ舗装したての道を蹴散らす 一人消え二人消えし…

9月第4週

考える短歌―作る手ほどき、読む技術 (新潮新書)posted with amazlet at 11.09.24俵 万智 新潮社 売り上げランキング: 30265Amazon.co.jp で詳細を見るとても実用的な短歌入門書。助詞や動詞の扱いや比喩など、少し工夫するだけで印象がはっきりと変わるポイ…

詩を書き始めたきっかけを教えてください。

直接のきっかけはYahooジオシティーズの創作系の企画に参加したことですね。たしか小説や詩を募集していて、ちょうどその頃ジオシティーズに小説サイトを持っていた縁から、詩なら気楽に書けるだろうと参加しました。内容は失われていますが「藍銅鉱の夢」と…

「次に何を読もうか」という時の、misuiさんの本選びのポイントは何ですか。

まず、僕は読書メーターを使って読書記録をつけています。読了や感想、積読の状況などは読メを使えば容易に把握できますし、現在自分がどんな流れでどんな分野の本を読んでいるのかも、リストを眺めるだけでわかります。可視化して確認する感じですね。次に…

これもインタビューズの。

9月第3週

諳んじたい俳句88―世界最短詩型の美しい日本語表現posted with amazlet at 11.09.18片山 由美子 石飛 博光 日本放送出版協会 売り上げランキング: 437478Amazon.co.jp で詳細を見るごく簡単な解説と書が並べられている。精神性があるのもいいが絵画・視覚的…

水菜

http://www.ctb.ne.jp/~mizuna-ps/ というわけで詩のサイトを作りました。古いのも補完するよ。

やって後悔したひどいネトゲに対する恨み辛みを聞かせてください。

経済学の分野で「サンクコスト」という概念があります。あるものにかけたコストはもう取り戻すことができず、取り戻そうとしても無駄になるという考え方のことです。人は往々にして自分の選択を認めようとせず、そのため盲目的に失敗を重ねてしまいます。ど…

月と不死、月世界にて

月と不死 目を瞑り月の女の名を呼ばう 指に安らう蛾のやわらかさ 梟の灯りを頼りに船は進む 翼は煙 心は砂糖 銀の盆 兎が行き来するたびに紫色の林檎が落ちる 不死の父を時計の中に閉じこめて蠢く鍵を水に沈める 蒼白の月の光で生きたまま燃やした手紙は月に…

夜間閲覧室

夜間閲覧室 梨を剥く間にバスは図書館へ 風の果てには悪魔が待つ 司書の目を盗んで書架を渡り歩く 本は野菜のように選ぶ ノートにはただ星屑が並ぶだけ 孤独を星の言語で記す 錆びついた巨大な鋏が待ち受ける 黒いページに栞を挟む 未明までチェスで戦う司書…

9月第2週

知の技法―東京大学教養学部「基礎演習」テキストposted with amazlet at 11.09.11東京大学出版会 売り上げランキング: 105148Amazon.co.jp で詳細を見る反証可能性とそれを通しての対話の必要性を説くところから始め、知の現場の様々なアプローチを概観し、…

悪所

悪所 いたるところで 青い火が燃えている 人を探しにきたのに こんな悪所に迷いこんで やっぱり座敷を 出なければよかった 険しい山道を 足さぐりで進み 骨の橋を渡って 廃寺を通り過ぎる 火はいよいよ燃えて 前にも後ろにも 気づけば上下にもある あの中で…